牛をなでる小豊島の竹内浩一さん=2024年4月25日午後3時0分、香川県土庄町伊喜末小豊島、内海日和撮影
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 アートの島として知られる瀬戸内海の豊島(香川県土庄町)の隣に、小豊島(おでしま)という島がある。

 人口は10人で、定期船は1日1便で片道のみ。県のブランド牛「オリーブ牛」を育てる畜産農家が2軒あり、島内に約300頭の牛がいる。人よりも牛の数が多い。

 竹内幸一さん(85)は、小豊島に2軒ある畜産農家のうちの1軒で、約200頭の牛を飼育している。

 豊島や高松市南部から8~10カ月ほどの子牛を仕入れ、そこから約20カ月育てて出荷する。

 牛に飼料を与え、牛舎を掃除し、牛たちの健康状態を観察する。数十年、同じ作業を繰り返してきた。

 牛飼いとしては、ベテランの域に入るが、悩みは尽きない。暑さに弱い牛にとって、近年の猛暑は天敵。扇風機をフル稼働させるが、電気代がかさむことが頭痛の種だ。

 カラスに牛を襲われることも増えた。襲われた箇所から皮膚病を発症してしまうこともあり、カラスよけのための網を設置している。先日、カラス撃退のためのエアガンも購入した。

 初めて牛を育てたのは1970年代のことだ。

 当時はミカンやイモを栽培していた。

 堆肥(たいひ)が必要だと農…

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